たとえ、涙が頬を濡らしても。
episode 3.☆*。

⇒優しさに触れて。




『なー、明日の祭り行こうぜ!!』

そう俊稀に誘われた昨日。


あいにく、冬汰に誘う勇気がなかったあたしは俊稀と行くことにした。

ったく。

誘うなら早く言って欲しかったよ。


部活帰りに誘われて、その足で急用とか使って浴衣を買いに行ってしまった…


青が全面色の中、向日葵柄が入ったちょっと大人な浴衣に裾を通して、お母さんに髪の毛をお願いした。



「今日はしゅーくんとデートなんでしょー!」


「いや、そんなんじゃないし」



俊稀とは家族ぐるみで仲がいいから、お母さんは馴れ馴れしく、しゅーくんって呼んでいる。



「またまた〜、嫁に行くならしゅーくんぐらいじゃない?」


「っな!!
ちょっと、もうアイロン温まったんじゃない?」


「はいはい」



お母さんはアイロンを手にすると、慣れた手つきであたしの短い髪の毛を巻いていく…


美容師のお母さんは務めているヘアサロンでは指名率がNO.1と言われている。


カットもカラーも何よりヘアアレンジが優れていて、お客さんがカットはせずにヘアアレンジだけをしてもらいに来店するぐらいだ。



「お母さんがヘアアレンジするんだもん、しゅーくんのハート射抜けるわよ!」


「だーかーら!!」


「はいはい、前髪も巻くから黙って」


「喋ってるのはお母さんでしょ」


「あらヤダ!」



お喋りなお母さん、俊稀のお母さんに変なこと言ってないといいけど。





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