セカンド・ラブをあなたと
4.慎重に慎重に少しずつ
翔さんは無理は言わなかった。
最初の約束通り、電話とラインと、金曜1時間ほどの逢瀬。
食事に行ったこともない。

ほんと、私の事情でそうなのに、もっと一緒にいたくなる。
でも、勢いで望を巻き込むわけにはいかないから、ゆっくり、ゆっくりと言い聞かせる。

実際、帰宅して望の顔を見ると、翔さんと一緒にいたがった自分に抵抗を感じる。
そして、一瞬でこんな冷静な気持ちになれる自分は翔さんに失礼だと思う。
私の事情に寄り添ってくれる翔さんに対して、私の気持ちはなんて計算高いのだろう。

恋人でいたい私と、母親でいたい私。シーソー状態。
両方手に入れる方法はわかってるけど、勢いじゃダメなの。
翔さんに失礼でも、冷静に、計算高く考えなきゃいけないの。

最優先は望。それだけは絶対。
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