君を愛していいのは俺だけ

 十八時に社を出て、近くの創作フレンチダイニングに来た。


「本当、決まってよかったね」

 今夜は、大学時代からの友人・最上 柚(もがみ ゆず)と久々に顔を合わせている。

 就職した業界は異なるけど、私の転職の相談を聞いてくれた彼女には、誰よりも早く報告してあった。
 食事を注文するなり、彼女は自分のことのようにホッとした様子で微笑んだ。


「SUNRISER(サンライザー)は、まだ若い会社だから悪い風潮もなさそうだよね。それにアパレル関連だから、今までの経験も活かせるし」
「面接でいい雰囲気が伝わってきたから、きっと大丈夫」
「また頑張って」
「ありがとう」

 就職して二年半で転職なんて、あまり歓迎されないと弱気になったこともあったけど、一歩踏み出せて本当によかった。


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