君を愛していいのは俺だけ
「社長、まだ質問があります」
「次はなに?」
桃子ちゃんの質問大会は続くようだ。
滝澤さんは諦めモードで止めに入ることもなくなったけれど、その代わり正面に座っている私とよく目が合うようになった。
「社長が今まで付き合った人数を教えてください」
「そんなこと聞いてどうするの?」
「仕事に活かします」
「活かさなくていいから」
社長は桃子ちゃんの無茶振りを笑って、うまく流した。
でも……もし、周防社長が“陽太くん”だとしたら、私と別れた後に何人の女性と交際したのかは、知りたいようなそうでもないような……。
「秋吉さんは、彼氏いるの?」
「わ、私ですか!?」
突然、周防社長が私に質問の矛先を変えてきて、動揺した私はまた彼の視線から逃れられなくなった。