ブザービーターは君のため
 目が覚めると心配そうな顔が覗き込んでいた。
 その中にさっきの栗毛で大きな瞳の奴もいた。

 ショートでくせ毛の栗毛はきっと地毛だろう。

 そういやスカート穿いてるなとやっと気づく程度の女子力。
 到底、色気を出して髪染めました。とは考えにくい。

「大悟先生。
 気がついたみたい。」

 大悟……先生。
 そうか。
 ここは大悟が先生をやってる高校だったな。

「のんちゃん。体なまってんじゃない?」

「……のんちゃん言うな。」

「なんだよ。
 望夢なんだからのんちゃんだろ。」

 なんだよ。
 人が倒れたってのに、この呑気な会話は。

 だから……大悟の側は面倒臭くない。というのは口が裂けても言わないでおこう。


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