再会の街
「それは、彼からの?」

「そうです。まだ、結婚の約束も何もしていないんですけどね」


 照れながら、言葉を返した。


「君も幸せなんだね」

「はい」

「それなら、よかった」


 あの頃の大好きだった笑顔が、こちらに向けられた。

 それに同じように笑顔を返せる自分がいる。

 まだあの頃は子供だった。

 だけど、今は違う。


「もうそろそろ、帰らないといけないね。家で帰りを待っている人が、いるでしょうから」

「なんだか、そういう言い方されると、不倫でもしているようじゃないかい?」

「プッ」


 思わず吹き出してしまう。


「こら、笑うなよ」


 おでこを指で小突かれる。

 そう、本当に欲しかったのは、こんな会話だったのかもしれない。
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