過保護なドクターととろ甘同居
「うちの受付け担当が、急遽家庭の事情で退職することになって、ちょうど誰か雇いたかったんだ。うちで働いて、住まいも確保できる。もちろん、給料は払うし、家賃は取らない。悪くない話だろ?」
急に降って湧いてきた話に、ついていくことなんてできるはずなかった。
どうやらからかいや冗談の話ではないようだけど、急展開すぎて思考が追いつかない。
「あの、でも、私……」
「断る理由はないと思うけど、どうする」
仕事も与えてもらえる上、住まいも確保できる。
確かに、今の私に何一つ断る理由なんてない。
「本当に……私なんか、いいんですか?」
答えを待つ先生に向かって、恐る恐る目を向ける。
そんな重大な話の中、ボーイさんとは違うコック服を着込んだ人が席へとやって来る。
「先生!」と満面の笑みを浮かべてやってきたその様子に、この人が先生をお店へと招待した産まれた赤ちゃんの父親だということを察した。