初恋マニュアル
自分の気持ちを見透かされたような気がして、私はあわててそう答えた。



「美羽、声大きい。あわてすぎだって」



クスクス笑いながら声をひそめる愛里を見て、ここが図書館だったことを思い出す。


周りをそっと見れば、みんな静かに本を読んだり、勉強したりしてる。


すぐそばにいたおじさんと目が合うと、ジロリとすごみのある顔でにらまれてしまった。



「ご、ごめん……だって、愛里が変なこと言うんだもん」



肩をすくめておじさんから目をそらすと、愛里にそう文句を言った。



「確認しただけだよ。美羽の初恋の相手なら、応援したいしさ」



――初恋……?もしかして三浦くんのこと?



急に顔が熱くなって、両手でほっぺたをおおう。


なにも言えずに固まっていると、愛里は面白そうに私の顔をのぞきこんだ。



「顔、真っ赤だよ?美羽。やっぱり初恋なんじゃないの?照れなくてもいいじゃん」



このままじゃ、恋だって決めつけられちゃう。


三浦くんは私のこと、友達だとしか思ってないのに……



――なんでわかんないの?三浦くんは愛里のこと可愛いって言ってたんだよ?私は、面白いただの友達。


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