初恋マニュアル
由宇ちゃんと夏帆ちゃんが来るまでに2人でパーティの準備をするための買い物だって思ってた。


プレゼント交換をするっていうのは聞いてたし、そこにはなんの疑問も持たなかったけど、なんで洋服?と思いながらも先を急ぐ愛里になにも言えない。


まずはプレゼント選びと、小物やコスメなどが豊富に置いてあるお店に足を運ぶ。


愛里はアロマキャンドルを選んで、私はハンドクリームを選んだ。


テスターを何度もかぎ比べて、愛里に早くしろっておこられたけど、ハーブのやさしい香りが気に入ってそれに決めた。


だれに当たるかわからないけど、よろこんでくれるといいななんて思ってたのに、愛里の選ぶ早さといったら……


選んだというより一番手に取りやすいのをつかんだって言った方が早いようないきおいだ。


愛里には悪いけど、自分に当たるのは夏帆ちゃんか由宇ちゃんのプレゼントがいいなと、こっそり思った。


エスカレーターを走りおりる愛里はすごくいそいでいて、私は手をひっぱられて何度もころびそうになる。



「愛里!ちょっと、もう少しゆっくり……」



「時間ないの!ハンドクリームにどんだけ時間かけてんのよ、美羽はまったく」



ブツブツとひとりごとのようにつぶやきながら、それでも足を止めようとはしない。
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