初恋マニュアル
大きくため息をついてしかたなくまた上履きへとはきかえる。


それから一年生の教室がある三階へとのぼっていった。


一年三組の教室は、コの字型の廊下の真ん中に位置する。


階段をのぼりきって少し歩いた目の前が三組の教室だ。


教室の後ろ側にある傘立てを目指して、私は少し歩調を速めて歩いていく。


ドアを開けようとしたとき、だれかの声が教室から聞こえてきて、私はおもわず足を止めた。


聞こえてきたのが、男子の声だったからだ。


一瞬、みがまえてそれから外から中の様子をうかがう。



「いやー、まじ、須藤って可愛くね?」



「わかる!俺もタイプ!」



「だろ?胸もでかいし最高だよな!あぁ、俺と付き合ってくんないかなぁ」



「あ、でもあいつ、彼氏いるらしいぜ?」



「まじかよ!ショックぅ」



「二組のヤツが、告ってふられたとき、そう言われたってよ」



「だよなぁ、あんだけ可愛きゃ彼氏くらいいて当然か」
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