浅葱色の鬼
置屋を出て

どっちに探しに走るか
考えていると


「土方さん!!」


総司が走って来た

そして、他の幹部達も


「永倉まで…」


「いや、隊士らが梅結乃が心配だから
幹部総出しろって言うんだよ
俺は、土方さんから、引き継いだ仕事をするって言ったらさ
応援に来た奴らが
梅結乃を新選組に連れて帰れって
局長命令だってさ」


「ここにいねぇんだ…」


「それなら、あてがある!
俺、梅結乃の実家知ってんねん!」


「それ、廃墟だって言ってたでしょ!?」


「でも、そこに入ろうとしててん!
この家は、私を潰したりしないって
自信満々言っててんやで!?」


「山崎!案内してくれ!!」











走っている間


ふと、昔を思い出した


皆で同じ目標を持ち
稽古に励んでいた日々


山南さんが伝えたかった気持ち




ちゃんと伝わった









「崩れてんじゃん…」



藤堂が、思わず口にする


それほどボロボロの廃墟




「ここは違うんじゃないか?」


斎藤が言った



「いや、この中だ
ここにいる!わかる…俺には、わかる」



しばらく、立ち尽くした



そんな俺を黙って見ていた皆が




「いやいや、危ないって!」

「そうだよ!」

「怪我したらどうするんです!」

「いないかもだろ!?」

「他、探そう!」




ここにいる

感じる




「あ……紅音
そうだ!紅音だ!
梅結乃なんて名じゃねぇ
あいつ、紅音だ!!」




振り返り、皆を見るとキョトンとしていた





「惚れた女が、中にいるんだ
危険だとしても、俺は迎えに行く
紅音を守ると約束したんだ!
俺は、紅音を妻にする!」






「待ってます!必ず、彼女を連れて
出て来て下さい」








1番に賛成してくれたのは、総司だった













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