浅葱色の鬼
紅音を抱き抱え
外に出ると


ガシャーン
ガラガラ ドスン


社が崩れた



「危なかった」




幹部らも記憶が戻っていた


紅音の記憶が無くなったことを告げ


屯所に連れ帰ると、新選組の全員
記憶を取り戻していた



「にゃーん」



蒼も覚えているようだ



急遽決定した屯所の移転

眠ったままの紅音を連れての引っ越し


屯所の移転が終えて、5日後




あまりにも目覚めない紅音の診察にきた
松本医師が、全員の健康診断をした



そこで、総司が労咳と診断されたが
本人は、知っていたようだった



紅音が目覚めたのは、その翌日だった



「お前は、人さらいか?」


「違う、あの社は、崩壊寸前で危険だった
実際、倒壊した」


「……余計なことを」


紅音の頬を撫でた


「何している」


「俺が紅音に触れたいだけだ
気にするな」



それから、数日たっても



紅音は、何にも関心を示さず




蒼と庭を歩くばかりだった






「毎日、あんなに歩いて大丈夫なのか?」



皆が心配するほどだった



「今日は、非番だ、どこか行くか?」


「どれだけ歩いても、達成感がない
なあ、どうして私を生かした」


「生きて欲しいからだ
俺の妻になって欲しい」


「有り得ない
私は、人と夫婦にはならない」



紅音は、毎日
庭をぐるぐると歩いた



行くアテが無く、困っているようだった







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