浅葱色の鬼
命の力を全て捨て去り、人になった瞬間
疲れから、意識を手放した紅音を
藤堂が抱き抱え

沖田と屯所へ歩く



「平助君、どうして泣いているの?
何か、隠してる?」


沖田が、藤堂を睨む



「総司… 命は、人になると
長くは生きられない」


「ええ、300日でしたね」


「折角… 両想いなのに
2人ともが幸せになる方法を
見つけてあげたかった…」


「よく出掛けていたのは、その方法を
探してたの?」


「うん 俺さ、伊東さんに逆らえないから
総司にお願いしたいんだ
紅音を助けてあげて!
紅音に残された時間は… 100日
本当は、300日もないんだ
それでも、人になりたいという
紅音の気持ちは、変えられなかった」


「100日…」



2人に沈黙が訪れた


人になった今、なんだかんだ言っても仕方ないことをわかっているから





「僕は、病になって
自分のやりたいこと、やるべきこと
自分の意思が明確になったんだ
紅音さんの気持ち… わかります」





「ありがとう 総司!」


「平助君の頼みですから!」






屯所に戻ると、紅音が人になった事を
報告した







すやすや眠る紅音から
土方は、はなれようとしなかった








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