クールな王太子の新妻への溺愛誓約

マリアンヌの希望もあり、“クレアの一件”は他の者たちには伏せられていたため、ピエトーネの国王夫妻に会って、いったいなにがあったのだと今頃揃って首を傾げているに違いない。

マリアンヌも、まさかレオンがここまで変わるとは予想もしていなかった。ピエトーネへ行くまでは結婚を取りやめようと言われるかもしれないと恐れていたのだから、それも当然だ。

ピエトーネを発つ時、アンニバーレとヴァネッサから「くれぐれもよろしくお願いします」と強く頼まれ、レオンは「ご心配には及びません」と頼もしいひと言をかけた。
そのやり取りを見たマリアンヌも、自身の存在に心許なさはあるものの心強く思った。レオンのそばにいれば大丈夫。そう確信した。

口もとに手を当て、驚愕の表情を浮かべたままのベティの前をレオンと揃って通り過ぎる。その際マリアンヌは、ベティに向かって『また後でね』と口パクで伝えた。


ふたりが連れ立って来たことで、食事の間の侍女たちが色めき立つ。これまでも一緒に食事をとっていたが、別々にテーブルに着くことが常だったからだ。その上、レオンがマリアンヌを大切なものでも扱うかのようにエスコートする様子には、みな一様に目を見張った。


「マリアンヌ、座って」

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