クールな王太子の新妻への溺愛誓約
湖にせり出すようにして健在ぶりをアピールする、大きな老木。向こう岸に見える小さな桟橋。
(……そうだわ。あの夢よ)
マリアンヌは、昔から何度となく繰り返し見てきた夢の光景そのものだということに気がついた。あれはこの湖だったのだ。
「ボーっとしてどうした」
レオンに声をかけられ我に返る。
「レオン様、クレアもここへ来たことがありますか?」
「ああ、よく連れて来た」
やはりそうだったのだ。
レオンは湖へ視線を向けながら答えた。どこか懐かしむように見つめる。
「私、この光景を何度も夢に見ているんです」
「……夢に?」
レオンの目に光が宿る。
なにかを期待しているように見えたが、マリアンヌはそれに応えられるものまでは用意できない。記憶が戻ったわけではないからだ。