クールな王太子の新妻への溺愛誓約

そこからは話がトントン拍子に進み、婚儀を二ヶ月後に控えた今日、こうして三人でフィアーコの王宮に招かれていた。それは、二ヶ月のうちにフィアーコのしきたりや文化を学び、王宮での生活に慣れるようにというジャンピエトロの配慮だった。

フィアーコの王宮の絢爛さは、マリアンヌたちが今いるこの謁見の間だけではない。ピエトーネから半日かけて馬車で到着した王宮の入口には、見上げるほどの巨大な門がそびえ立っていた。そこから中へ入ると広大な庭園が広がり、人口の泉が点在している。
宮殿までの道のりには大小様々な彫刻が等間隔で配置され、整備された遊歩道は葉っぱの一枚も落ちていないほど綺麗だった。

四階建ての宮殿は翼のように左右へと広がり、中央の建物はドーム型になっている。白い大理石にブロンズミラーガラス張りの外観で、馬車を下りて一歩中へ入った途端、マリアンヌ一行の口からは深いため息が漏れた。

ロビーに吊るされたいくつものランプは芸術的な細工が施され、それだけで美術品として通るほど美しい。それらを筆頭に、白く輝く大理石の華やかな内装は豪華絢爛という言葉がぴったりだった。

ほどなくして謁見の間に続く回廊から、カツカツとゆっくりした足音が聞こえてくる。その音からは慌てた様子は微塵も感じられない。
そちらへ目を向けたマリアンヌは、王太子の登場を今か今かと胸を高鳴らせた。

< 4 / 286 >

この作品をシェア

pagetop