クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「王太子でありながら剣術の腕前も相当なものとのことですから、体を鍛え上げていらっしゃるのでしょうね」


マリアンヌの想像をたくましくさせるような情報をベティが付加するものだから、マリアンヌはそのうち顔が真っ赤になってしまった。昨夜見かけた剣術の訓練を思い返し、鋭くも華麗な姿に胸が高鳴る。


「あら、マリアンヌ様、大変。お熱でしょうか?」


ベティが即座にマリアンヌの額に触れる。


「……おかしいですね。お熱はなさそうですが」


ベティはマリアンヌをからかっているわけではない。本心から心配しているのだ。


「私は大丈夫だから」

「そうでございますか? でも、今夜はお疲れのご様子ですから、早くお休みになられた方がよろしいですよ」

「わかってるわ。ありがとう」


ベティが部屋を下がると、マリアンヌはベッドにゆっくりと横たわった。

(レオン様が私を抱き上げてここまで……)

たったそれだけのことがマリアンヌの心を大きく揺さぶる。

(レオン様はきっと、とてもお優しいお方。今は笑顔を忘れてしまっているだけだわ)

それならば、自分がなんとか笑顔を取り戻させよう。
そんなことを考えながら目を閉じ、マリアンヌはいつの間にか眠りの波にさらわれた。

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