嫌いになってもいいですか?
「私、できれば龍二の部屋で過ごしたいな」


誰にも邪魔されないで、正真正銘ふたりきりで過ごしたいの。


「ごめんなさい、せっかく予約してくれたのに、わがまま言って……」
「手を焼かせられるのには、慣れてる。それに、」


謝罪の気持ちを一蹴した龍二は、私に組まれていない方の手で、私の頭をポンと撫でた。


「奇遇だな。俺もそうしたい、って思った」


龍二のいつになく穏やかな声は、とても甘いトーンで私の耳に届いた。
冷たい海風に煽られて、恋人たちは距離をもっと近くする。




続編1・end
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