不機嫌なジェミニ
実家に着くと、思った以上に歓迎され、

私達が婚約しているとおもったようで、

(まあ、実際さっきしたみたいだけど…)

ジンさんの肩書きや、生活には困らない収入があることにも安心して、反対される事はなかった。

スーツ姿のジンさんはとても、若々しく出来るオトナに見えたし、
(休みなのにスーツを着ていたので、私は仕事があるんだって思っていたんだけど…)
お母さんも、男前って思ったようだった。


帰り道、

「ジンさん、私もジンさんのご両親に会いに行った方が良いですか?」と緊張しながら恐る恐る聞くと、

「結婚する直前でいいかな…
両親には結婚する予定の恋人と一緒に暮らす事にした。って言ってあるし…
レンが親父にトウコの事は話してるし…
俺が誰かをまた好きになった。ってことで両親は安心しているみたいだからね…
社員だから、その気になれば情報は手に入るだろうし…
勝手にこの間のパーティーで顔も見たようで、
可愛いって評価だったよ。
…だから、もう少し後でいいよ。
36のオトナが決めた事に文句はないだろ。」

とくすんと笑った。
…もう、ご両親は私の事を知っているんだ…

「…今は会いに行かなくていいの?」

「いいよ。
結婚式は面倒だろうけど…勝手にやる訳にはいかないからね。
その時に会いに行こう。
…レンと一緒に出来るなら面倒な事はレンと恭子ちゃんにに押しつけることが出来るけど…」

お似合いの2人なら、いつ結婚してもおかしくなんてない…

「レンさん結婚するんですか?」

「そのうちするんじゃないか?
親父にはもう、相談してるんだろうし…」

…そのうち
には、私は結婚出来ないだろうな

と考える。

「…そ、それは…一緒には結婚式は出来ないかも…」

と自信のない声が出た。



いつ結婚出来るって思えるのかな
…2年後?
5年後?

とりあえず、お仕事頑張って、
自分に自信を持たなければ…
と、心の中で

頑張れ、トウコ

と拳を握っていると、

「トウコ、俺のために『頑張らなくちゃ』って思ってる?
あんまり、無理しなくていいよ。
俺はどんなトウコだって好きなんだから…」

とジンさんは私の心の中もお見通しなのかもしれない…
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