タイムリープ
『6月の下旬頃から体調を悪くしたお母さんは、二週間に病院に行ったんだ。そしたら末期の肝臓がんと、病院の医師から診断されたんだ!』

電話の向こうから聞こえる、翼の悲痛な叫び声を聞いて私の胸が苦しくなった。

「嘘………でしょ」

私は、かすれた声で呟いた。

『嘘じゃない!昨日、お母さんが俺に言ったんだ。「死ぬ前に、梢に会いたい。大阪に戻って来てほしい」って。なのに、どうして姉ちゃんは戻って来てくれなかったんだよ!』

「………」

『そんなに、お母さんが嫌いだったのかよ!』

「………」

『そんなに、家が嫌いだったのかよ!』

「………」

翼の泣き叫び声を聞いて、私の視界がにじむ。

『姉ちゃんはお酒ばっかり飲んでるお母さんを嫌っていたけど、あれはスナックの仕事をしていたから仕方なく飲んでいたんだぞ!』

電話越しから翼は、大声で泣き叫んで言った。
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