*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
なんだか先輩らしくない。

私と親しげに話して、好きな人に誤解されたくないから?

別に彼女気取りなんてしませんよ。

それとも『火付け役』って言ったこと怒ってる?

イライラぶつけた私も悪かったよね。

深い溜め息吐きながら角を右に曲がると、長身の男女が並んで憧れのマンションに入って行くところ だった。

私は、その二人の後ろ姿に驚愕し目を疑う。

先輩と我が課長に間違いない…… そう! 確か課長、白いデザイナーズマンションに住んでたはず。

旦那様は単身赴任で、あまり帰らないとも聞いた。

……まさか先輩の好きな人って課長?

そういえば先輩が京都で持ってた紙バッグの新作ジュエリーを、課長がしてたって騒いでた子いた。

課長へのプレゼントだったんだ……

だから新婦役頼めなかったの?

何気にサロンに顔出すのも、課長に会いたくて?

……今夜、課長の家に泊まるの?

私は、しばらく二人が消え去った曇りガラスの自動ドアから目が離せずにいた。

その後しばらく寒空の下、一人きりで呆然と立ち尽くし続けた。

そしてふと顔を上げた時、真っ暗だった三階に明かりが灯るのを目にした瞬間、静まり返る薄暗い道を弾かれたように走り出していた。
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