*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
ちょっぴり切ない想いでぼんやり先輩を見つめていると、先輩は急に楽しげな顔から真面目な顔に変化し瞳から真実の光を放ち始める。


「俺、美愛じゃなきゃしない。これもよーく覚えといて」


そう口にして恥ずかしそうにバッと背を向け立ち上がる先輩を、私は焦って呼び止める。


「忘れそう。……絶対メール下さい」


私は、もう嬉しくて照れくさくて、つい目を逸らし少女のようにハニカミながら伝えてみた。

だって何度も見て幸せ感に浸りたい。


「やっぱやだ。忘れたらまた言う。でも着替えは忘れず安静にすること。じゃあお休み」


また照れた様子でサッと玄関に行き靴を履くと、柔らかな春の太陽のような笑顔を残し手を上げて帰って行った。

私は、その広い背中を見つめながら「大好き……」絶対に聞こえない声で囁いた。

そしてもう一度"お帰りなさいの世界"を祈るけれど、先輩の軽快に降り行く靴音に少しだけ唇を綻ばせ心の中で"お休みなさい"を伝えホッとする。

そしてまた夢の世界に移行していくのだった。
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