ある夜のできごと

「そーいえばさぁ。私婚活始めたの。」

とりあえず話題を変えてみる。
「そーなの?どんな感じ?!」
「市の婚活パーティー参加したり、婚活アプリ登録してみたり。」
「それで、それで?!」
和香がくいついてきた。目がキラキラしてる。
そういえば、和香の話を聞くことは多くても私の男関係の話ってあんまり、なかったことを思い出す。
「何人か会ってみたけど、この人っていうのはなかなか難しいね。また会いたいって思える人はいなかったなー。」
「3回だっけ?付き合うかどうかは3回会えるかどうかって聞いたことあるわ。」
「地味にハードル高いよ。それ。3回か……。」
「奈々はどんな人が好みとか、こういう人がいい、とかあるの?」
「仕事に対して理解のある人がいいなぁ。結婚しても働き続けたいし」

和香には言わないけど、
和香夫婦の関係はいいなって思ってる。
今は和香は育休中だけど、
子供ができるまでは
お互いに仕事して、余裕のある方が家事をして、
土日は一緒にすごすときもあれば、自分の趣味を優先させるときもある………

結婚したからといって、相手や家事に縛られず、
お互いに自分の時間を持つようにする。

和香曰く、
「お互いにフルタイムで働いてるんだから対等じゃないとイヤ。ずっと一緒にいると、自分のやりたいこと(趣味)ができないから、自分一人の時間も絶対必要」らしい。

お互いに尊重しあえる夫婦っていいなって思う。

「恋愛かぁ。いいなぁ。」
和香の言葉にぽかーんとする。
いやいや、うらやましいのは私ですけど。
好きな人と結婚して、子供もできて。

「私たちって学生の頃から付き合ってたでしょ?だから、結婚2年目なのに、気分は熟年夫婦。ドキドキとかないんだよね。私も恋愛したーい。」
「だめでしょ(笑)洸さんに怒られるよ。」
「そうなんだけど……
奈々がこれからうまくいくかもわからないから、
こんな言い方無責任かもしれないけど、
私の場合、先が見えるわけよ。
数年以内に子供もう1人産んで、仕事して、、とか。ドキドキわくわくより、計画的にっていう感じ?」
ふむふむ。
「その点、今から恋愛するって、先が見えなくて不安になったりもするけど、楽しみがいっぱいな感じなんだよね。」
和香はそう思うんだ。
一理あるかもしれないけど、私としては親からの圧力もあって、そんなに楽しいものじゃないんだけど……
というか、
「そんなに話聞いたら結婚したく無くなるよ。」
「えっ?そう??」

心底不思議そうにいう和香に笑ってしまった。
結局、結婚生活満足してるんじゃん。

そのとたん、和香がはっとしたような顔をした。
「どうかした?」
「あ。うん。もやもやの正体わかったかも。」
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