ライアーピース



由紀乃は一番前だから、
由紀乃のはずがない。


じゃあ誰・・・?


「・・・何?」



そこにいたのは男の子。
茶髪で切れ長の目をしている男。


私の隣が男子だったってことに
今初めて気づいたよ。


「なあ、アンタ、二宮若葉?」


「は?」


「やっぱそうだろ!?いや~
 まさか二宮若葉と同じ高校なんてな」


何この人、何で人の名前知ってるの?
しかもフルネームで。


「ねえ、何で名前・・・」


「アンタ有名だよ。男子にも負けず劣らず
 かっこよくてバスケも上手い二宮若葉」


なんだそれ。
いつの間にそんな噂になってるの?


びっくりして目を丸くしていると、
男は私の方を向いた。


「よし、友達になろ。
 俺、新海歩夢。よろしく」


「あ・・・うん、よろしく」


歩夢は私の手を取って握手をした。


なんだろこの人。人懐こいのかな?
まあ、悪い人ではないだろうね。


高校生かあ。なんだか実感ないな・・・。


陸、今ごろどうしてるかな。


「なあ、二宮。お前
 部活はやっぱりバスケ?」


「・・・いや、陸上部に入るつもりだけど」


「マジで!?あー、
 お前なら何でもできるか」


バスケは好きだし、
走るのも好き。得意分野なだけよ。



「二宮がいるんなら、
 俺も陸上やろっかなー」


「はあ?あんたねえ、
 そんなんで決めていいの?」


「いいのいいの。
 俺、お前のこと気に入ったし」


はあ・・・。




< 20 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop