ライアーピース



陸は他の男子同様、
私を男友達のように接してくれた。


「だから、違うって!
 そんなんじゃクリアできないよ」


「はあ?二宮の言うとおりにして
 さっき間違っただろ?」


「さ、さっきはさっきでしょうが!」


こうしてゲームなんかして、
くだらない会話を続けるのが、
今ではとても嬉しい。


でもそれでも・・・。




「陸~何しとんの?」


「唯!みんなでゲームしてたんだけど、
 何か用?」


「ちょっと顔見にきただけやで。
 陸に会いたくてさ」


唯が教室に入ってくると、
陸は嬉しそうな顔をみせた。


唯は毎度毎度、休み時間になっては
陸のところへと遊びに来る。


そうすると、さっきまで
楽しかったのが一気に落ち込んでしまう。


ズキズキ痛む胸を抑えながら、
私はただ見ていることしかできなかった。


「じゃ、またお昼にね」


唯はそう言うと教室を出て行った。


「陸・・・幸せ?」


「ん?」


私はふとそんな問いかけをした。


自分でもよく分からない。
だけど、聞きたかったの。


「唯といられて、幸せ?」


「・・・うーん、まあ、幸せだな」


「そっか・・・」



私は要らない?


唯がいれば幸せ?


私は、全然幸せじゃないよ。


陸が唯を見る横顔を見つめていると、
胸の奥がギュウッてなって抑えられないよ。











お昼休みになり、
陸が教室を出て行った。


きっとF組の教室に行くんだろう。


私は由紀乃に断りを入れて、
屋上へ向かった。


重い扉を開けると、
私の視界に驚きの光景が映し出された。






「陸・・・・」




そこには、深いキスをしている
陸と唯の姿があった。



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