ライアーピース



ねえ。



あの時、観覧車はちょうど
てっぺんまで来ていたんだよ。




私が呟いた「嫌い」は、
誰に向けて言った言葉なんだろうね。




ねえ陸。




どうしたら私を思い出してくれますか?





私はわからないの。




どれだけ足掻いても、
きっと陸は私を思い出すことはないんだと思ってしまう。







どうしたら、
あの幸せだった日々を思い出してくれますか?





嘘つきだらけのピースをはめる。





未完成のパズル。






最後の1ピースが埋まらないの。





ねえ、陸。





そのピースはあなたが持っているんだよ。





あなたがいなきゃ、完成しないんだよ。




私の心の中にあるパズル。





陸の頭の中にある最後のピース。





私が無理にはめることはできなくて、




ただただ、いつか陸が
はめてくれることを祈ってる。






だけどね、不思議。






このまま完成しなければいいと思う自分もいるの。




だって、そのパズルが完成してしまったら、



もう二度と、陸が私を見てくれることは
なくなってしまうんじゃないかって思うから。






このままずっと、
曖昧なままの私たちでいたいと、そう思うから。







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