フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~
「ううん、やっぱり私は誰とも普通の女の人みたいな恋愛はできそうもないよ。だって私は『キズモノ』だもん」

パーティーでの片岡さんのセリフが心に浮かんだ。
そういえば、樺山さんにも『キズモノ』っていわれたっけ。

私は安堂家の恥で『キズモノ』だから井原家の嫁にはふさわしくない。


「お嬢さま、井原さんがお嬢さまのことを『キズモノ』だと仰いましたか?」

「修一郎さんは言わないよ。そんなこと言う人じゃないし」

「では、なぜそんなことを言うのですか。井原家の嫁にはふさわしくないと井原さんがおっしゃっているのならお嬢さまと恋愛関係になることはないでしょう。ま、そんなことを言う男ならばこちらからグーで殴って捨てておしまいなさい。
でも、そう言わない方なら信じてぶつかってみたらいかがですか?」

元林さん、それグーなの?

「いやいや、そもそも私と井原さんとじゃ無理があるから。それに、あのパーティーで昂輝さんとの過去を知られてしまったの。彼だってそんな私じゃいやでしょう?」

「どうしてですか。お嬢さまと昂輝様との仲なんて何もなかったのも同然のものですよ」

な、なにもなかったわけじゃない。
さすがに元林さんには言いにくい。
黙ってしまった私に畳みかけるように元林さんの言葉が続く。

「子どもの頃のキスの一つや二つ、何かあったうちに入りませんよ」

ええ、何で知ってるのっ?!
一つや二つって・・・ね。

「あの当時のお嬢さまのことならわかりますよ」

顔色をなくす私に元林さんは平然と言い放つ。
何でそんなことまで~?

「お嬢さまがわかりやすいんですよ」

ひゃー、いやあー。

「大丈夫です。近頃はもうそこまではわかりませんから」

「今でもそこまで気が付かれてたら恥ずかしくて死ねるかも」

ゆったりとした大きなソファの上で膝を抱えて顔をうずめた。
< 128 / 142 >

この作品をシェア

pagetop