フェイク アフェア ~UMAの姫と御曹司~

4-2

修一郎さんと私の婚約発表から4ヶ月。

私はIHARAだけでなくANDO関係のパーティーにも積極的に顔を出していた。

修一郎さんファンの女性からの嫌がらせはかなり減っていたけれど、ストーカーからの接触もなかった。

私は少し焦り始めていた。

というのも、
婚約発表から時間が経つに従って入籍や結婚式の日取りを聞かれることが増えてきたからだ。

まさか、結婚式を挙げるつもりがないから決めていないと言うわけにはいかない。

私は『安堂ノエル』として私が公に出れば、ストーカーが動き出すはずだと思っていた。

そうすればストーカーと戦うことができる。
なのに、そんな気配はない。

私のことは諦めてくれたのだろうか。
その判断ができない。
ということは私と修一郎さんのこの生活がまだ終わらないということ。

修一郎さんやケイに話しても「しばらくはこのまま油断しないでいこう」と言うばかり。

そろそろ私はこの生活が心苦しくなっているのに。

私の存在は修一郎さんの生活を縛っている。
不要な縁談からは逃れられるけれど、必要な本物の恋愛をすることもできない。

早く修一郎さんと離れなければと思うのに、その反面、私はIHARAでの仕事が楽しくて仕方ない。

修一郎さんが長い時間専務室を離れるときなどに、秘書室で仕事をすることを許可してもらったのだ。
もちろん、専務室で修一郎さんと一緒に仕事をするのが嫌なはずはない。

ただ、秘書室で沙絵さん達と一緒にいるのも楽しい。

それにドイツ語とフランス語のメールや一部の電話対応や書類作成も任せてもらえるようになった。
その関係で海外事業部のフロアにも一人で顔を出せるようになった。

社内で私の行動範囲が広がっていた。
私もIHARAの役に立っているような気になってかなり嬉しい。
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