オトナの恋は礼儀知らず
22.心境の変化
 顔のマッサージのことは、エステとしてしっかりやるのかサービスの一環でやるのか話し合いをしたり、みんなでマッサージの練習をしたり着々と進んでいた。

「まさか福田くんがOKするとは意外だったわ。」

「俺は鬼か何かですか?」

 相変わらず棘のある言葉を発する福田くんに苦笑する。

 それでもやっぱりさすがだわ。
 男の人がエステ……と思っていたのに、ものすごく上手だ。

 男の人らしい大きな手で包まれながらされるマッサージは心地良かった。

「しっかりエステとなると化粧を落とさないといけない。
 美容師とは言え、男に見られたくないでしょうから、その辺りをどうするのか考えないと。」

 亜里沙といい、福田くんといい、しっかり者のいい仲間と一緒に仕事ができて、幸せ者だなぁと噛みしめる。

「友恵さん?聞いてます?
 彼氏に早く会いたいなって顔に書いてありますよ。」

「そんなこと思ってません!」

 福田くんまでからかうんだから。

 でも……そうね。会いたいわ。



 マンションに着くと尻尾があればちぎれるほどに振っているだろう桜川さんに出迎えられた。

「来てたんですか?
 来る時は連絡くれればいいのに。」

「連絡して仕事の邪魔したら悪いので。」

 当たり前のように来て、当たり前のように夕食を準備してくれる。

 煩わしいと前の自分なら感じただろう。
 


 
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