私にとって初めての恋。
波乱の秋
夏休みが終わって秋に入るがまだ残暑が残っていた。
クラスの委員決めで美陽は図書委員に立候補した。

「次沢さん、お久しぶりですね」
「はい、ここ最近はずっと来てませんでしたね」

美陽は図書室を見渡した。

「じゃあ、本の整理からしましょうか」
「はい」

侑士に言われて本棚を丁寧に見ていく。

「これはここで、こっちはここだな…」

一つ一つ並びを直していく。

「やはり、慣れていますね」
「久々ですけど、やっぱり本に触れるっていいですね」

話ながらも並び順を整えていく。

外で部活動をしている人たちの声が聞こえてきた。

「3年生はもうラストスパートの時期ですね」
「あ、そっか…そういえば受験ですね」

夏休みに色んなことがあって忘れていたが、悠琉も龍月も3年生であった。

「忙しくなりますね、次沢さんはもう何がやりたいとかあるんですか?」

侑士に聞かれて悩みだす。

「まだ考えていません。ですが、考え始めるにはいいかもしれませんね」

その日の委員会は本棚の整理で終わった。

美陽は変わらず束李と悠琉と龍月と共に下校していた。

「先輩たちは、受験大丈夫なんですか?」

束李が切り開いた。

「俺はまあ、大体の目処はついてるが…。悠琉は?」

龍月が悠琉に聞く。

「俺も大体はもう固まってる。後は勉強方面だな」

3人が話している中美陽だけが上の空だった。

「美陽?」

束李に声をかけられてハッと我に返った。

「大丈夫?」
「うん、ごめん…」

悠琉は美陽を心配そうな面持ちで見つめた。

「龍月、ちょっといいか?」
「ん?あ、ああいいぞ」

束李の手を龍月が引いて、美陽と悠琉は2人と別れた。

「どうかしたのか、美陽」
「悠琉さん…」

美陽は委員会でのことを悠琉に話した。

「別に焦らなくてもいいと思うけど?俺もここ最近やっと決まったし…」

悠琉は美陽に話す。

「無理に今決めなくても大丈夫だと思うよ。不安ならいくらでも相談乗るから」

悠琉は優しく微笑んだ。

「ありがとうございます」

美陽は不安が少し取り除けた気がした。
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