恋愛ノスタルジー
その言葉に、俺の全身が冷たくなっていく。

もう、あんな苦しい想いは懲り懲りだ。

それから、焦げるような胸の苦しみも。

美月は少し息をつくと再び続けた。

「まあ、アンタには関係ないでしょうけど。せいぜい花怜さんとやらとお幸せに」

「待ってくれ!白崎さん!」

「……」

彩を誰にも渡したくない。

その瞳に俺以外の男を写さないでくれ。

俺以外の男の傍に寄らないでほしい。

これからは、これからは誠実に向き合うからどうか俺だけをみてくれ。

胸を突くこの想いにもう耐えられない。

俺は最後の挨拶もそこそこに料亭を飛び出すと、後を黒須に任せてタクシーに飛び乗った。


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