御曹司様はシンデレラを溺愛する

私の家は呉服問屋を営んでいて、加藤家には昔から贔屓にしてもらっている。


父と娘の2人きりという同じ境遇と同じ歳だという事で紹介された時は、色素の薄い髪に白い肌、パッチリとした目に小さな唇が、西洋人形のように可愛らしいと感じた。


だが、優里亜は見かけの可愛らしさとはかけ離れた、お転婆娘、イヤ、逞しく、人より少しだけ変わったお嬢様だった。


物事をはっきりといい大人達を困惑させるぐらいだから、同年代の子には異質に感じる存在で、仲良くなった友人なんて数えるぐらいだろう。


そんな優里亜と今でも仲良くできるのは、私も割とはっきりとした性格だからかもしれない。


「おじ様の顔を立てて、その合同お見合いにいつものように出席すればいいじゃない?」


「イヤよ」


「おじ様にそう言えばいいんじゃないの?」


「言ったわよ。でもお父様ったら、すごく乗り気で姫花の家から一番いい着物を新調して私の話なんて聞く耳を持たないのよ」


「それなら諦めて出席すれば」


「私には、ダーリンがいるのよ。お見合いだとわかってて出席なんて、そんな裏切りできない」


ヨヨヨ…と片手をついて優里亜の体が崩れる。


優里亜には、大学時代からの続く彼氏がいるのは私も知っている。
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