御曹司様はシンデレラを溺愛する

「なんですの?」


周りに誰もいない事を確認した御曹司がドンと壁を叩いた。


「お前は誰だ?」


「加藤 優里亜です」


「質問を変える。合同お見合いに来ていた優里亜は誰だ?」


「私が頼んだ身代わりでしょうね」


「遠回しな言い方は嫌いだ。彼女に会わせろ」


「会ってどうするのですか?」


「俺の女にする」


「まぁ、逃げられたのに?」


「お前、どこまで知っている?」


「何も…ただ、追いかけられて逃げる際、草履が脱げ置いてきてしまったって事だけですかね。彼女、草履を片方無くしたと必死に謝ってきましたから、草履ぐらいいいわよと慰めてあげたんですよ。一体、何をしたら、律儀な彼女が逃げるほど嫌われる事をされたんです?」


これぐらいの意地悪はいいだろうと優里亜は楽しんでいた。


「俺は、嫌われたのか?」


「さぁ…どうでしょう?」


「会いたい、会わせてくれ」


「会わせてあげてもいいわよ。だけど、彼女を捕まえられるかしら?捕まえられなかったら諦めなさいよ」


「本性が出てきたな…諦めないさ。振り向かせてみせる」


「頑張って…あなたのシンデレラの名前は、姫花よ。須藤 姫花。フォー・ユーって派遣会社でアルバイトしてるから捕まえてみたら!」
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