次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
はじまり
「特別休暇をやろう。ゆっくり他国を遊学してくるといい」
 いつものように決裁の書類を抱えて王の側に赴いた時に、突然提案され言われた言葉。
「はい!?」
 思わず持っていた書類を落としそうになり、慌てて持ち直した。
「周辺諸国のことを知っておく必要があると思わぬか?」
「……お言葉ですが…貴方よりは詳しいと私自身は思っておりますが!?」
「知識より、実際に見て来いと言っておるのだ」
「……何か企んでおりますね」
「そんな人聞きの悪い…ここ数年ずっと忙しかっただろう」
「仕事を滞らせる貴方のお陰でね」
「……この先もまた忙しくなるだろうから、ゆっくり休養させてやろうと言ってるだけだろう」
「…………」
 笑う王を不信感を隠さず見つめるクーデノム。
 絶対何かを企んでるはずなのだ。
 そんな彼の視線も慣れた様子で受け流し、告げる。
「マキセに供をさせる。王の命令だよ」
< 1 / 33 >

この作品をシェア

pagetop