次期王の花嫁 ~真面目次期王は蒼眼王女に落とされたい?~(次期王の行方2) 
「こんなに歳も離れているのに?」
「若い女の方が将来的にお得でしょ?」
「僕は…ただの文官ですよ?」
「クスイ国では王族・貴族はいないと聞いたし、地位など関係ないわ」
「セーラ殿なら、他に多くの求婚者が現れるでしょう?」
「わたしが好きになれなきゃ、イミないもの」
「…………」
「わたしは…貴方を独り占めしたいと思ったの!」
 彼女の必死な表情に揺り動かされる心。
 勢いのままクーデノムの胸に飛びこんで来たセーラを抱きとめる。
「わたしでは…相手になりませんか?」
 少し震えた声。
 彼女の精一杯の勇気なのだ、これは。
 そんな彼女を好ましいと感じる心は……ある。
 このまま彼女の申し出を受けて抱きしめてしまうのは簡単だ。
 それでも、冷静さを保って彼女に告げる。
「正直…突然なモノで驚いて戸惑っているんですけど……とりあえず、ありがとうございます。素直に嬉しいです」
「では」
 ぱっと顔をあげたセーラの表情は嬉しそう。
「しかし、現実問題、貴女にも私にも立場というものが存在しております」
「それはー…っ」
 本人がどんなに関係ないと言っても、一国の王女である事実はなくならない。
 言いよどんだ彼女から、それは十分に判っているのだと推測できた。
 ただの夢見がちな少女ではない、と。
「……私はフラれたんですか?」
「……いいえ。…少し、時間を頂けますか」
 落ち込む彼女にクーデノムは微笑して答えた。
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