あなたに飼われたい
保護された…？

温かい手

薄暗い高校の校舎の廊下を、真夜は走っていた。

外では雨が降っている。

長く伸びる廊下。人は誰もいない。

足がもつれてなかなか前に進めない。それでも必死に走ろうとする。

何かから逃げなければいけないのは知っている。

でも、何から逃げているのかは思い出せない。

少しずつ、廊下の突き当たりにある階段が近づいてきた。

階段を下りて外に出られる、と思ったとき、誰かに腕をつかまれ、床に倒された。捕まった、と思った。

大きな手がいくつも降ってきて、腕や脚を押さえられる。助けてと言おうとするが声も出ない。身体の上に何かがのしかかってくる。重い。

「うぅ……」

うめき声が漏れた。と同時に眩しい光を感じる。

ぱちっと目を開けた真夜は、夢だったと気づいたが。

「ここ、どこ……？」

大型家具店のショールームのような綺麗で整頓された部屋の、ふかふかのベッドの中で、真夜は眠っていた。

そして、真夜のお腹の上には、黒猫と白猫が1匹ずつ、丸まって寝ていた。

「〜〜〜〜〜！？！？」
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