エリート医師のイジワルな溺甘療法


彼が少し動くたびに、シーツが素肌に擦れて、少しくすぐったい。

頬にも額にもやわらかい唇が触れて、髪をやさしくなでられる。これもまたくすぐったいけれど、すごく心地いい。それは、彼のすることだから。


「穂乃花、起きて珈琲飲むか?」

「ん……もう起きる時間ですか? 私がしますから、雄介さんはゆっくりしていてください」

「いや、穂乃花は夜の名残で体がキツイだろ? 体も脚もだいぶムリさせたから、もう少し寝てろ。いいな?」


髪に唇を落として、するりとベッドから降りていく。

ギリシャ彫刻のように均整のとれた背中から腰のラインが、朝の目に眩しい。

そういえば、腹筋も割れていたっけ。

お医者さまは体が資本だから、日頃から鍛えているんだろうか。

昨夜は、体中余すところなく愛してくれた。

私が先生って呼ぶから『俺の名前を呼ぶまで、おあずけだぞ』なんてSな言葉もささやかれて、今まで知らなかったツボも攻められて……彼は、夜も極上のオトコだった。

思い出せば体が熱くなって、また彼を求めてしまいそうになる。

なんて……私ったら。爽やかな朝なのに、なにを考えてるのか。

ピンク色に染まった頭の中を、さっさと真っ白に戻さなくちゃいけない。

きっと、彼のニオイが残るベッドにいるからいけないんだ。

体を起こすと少しの気だるさに襲われて、ベッドに手をついた拍子に、胸に痕跡があるのを見つけて顔がポッと熱くなる。

胸の谷間辺りに、二か所も……彼は意外に独占欲が強いみたいだ。


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