☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「―何してるの?煌」


扉の前でうろうろしてると、


「盗み聞き?」


相馬さまと同じ顔をした女の子……千鶴ちゃんが首をかしげて、問いてきた。


「ち、違っ……」


「慌てなくても、わかってるわよ。どうせ、イチャイチャしてんでしょ。本当、良い年して……父さん、母さん、入るわよ」


障子一枚なので、恐らく、向こう側にも聞こえてて。


『ほらっ、煌が来た!千鶴も!!』


『チッ……』


『舌打ちしないで、離せ!』


『グフッ……』


相馬さんの呻き声が聞こえたところで、千鶴ちゃんは思いきり、障子を開けた。


「……朝っぱらから、何やってるわけ?ってか、人を呼んでおいて、母さんを襲わないでよ。父さん」


小学一年生と思えない口調で、父親を睨んだ千鶴ちゃんは部屋に入ると、父親の相馬さまを哀れんだ目で見て。


「でも、まぁ、母さんからの扱いは可哀想だな、と思うわ。私は、空気を読んだわよ?」


「っ……ふぅ……どうせ読むなら、出直せ」


腹を押さえて、彼は言った。


「嫌よ。学校があるもの」


それに返す、千鶴ちゃん。


……同じ顔、同じ性格。


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