あなたの心を❤️で満たして
それを廣瀬さんはブツブツと文句を言って迎え入れ、甲高い声で食事をするように勧めるのだ。



「お坊っちゃま、しっかり召し上がらないと！」


今朝も同じように黒沢さんの側で甲高い声を上げている。
彼はそれを辛そうな表情で聞き流し、私がよそった味噌汁のお椀を手にした。


ゴクンゴクン…と、まるで水を飲み込むように一気飲み。その後でやっと箸を握る。

今日の具はさつまいも。朝から食の進まない彼に主食代わりになる野菜を…と考えて入れた。



「……甘い」


一口齧るとそう囁き、あっという間に平らげてテーブルに戻す。
その後は小さいおにぎりを二つだけ、何とか胃袋に収めて手を合わせた。



「ご馳走様」


これまではその一連の行動を見つめながら無理して食べなくてもいいのに…と思っていた。
だけど、実際に美味しいと言ってもらえたことで、何だか今日は満足している。例えば形だけの夫婦だとしても別にいいかと思えるくらい気分が良かった。



「お坊っちゃま、今夜もお帰りは遅いんですか？」


出勤前、廣瀬さんが訊ねた。
彼はちらっと彼女に目を配り、溜息混じりにこう返事した。


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