あなたの心を❤️で満たして
まるで何かを隠すかのように、ずっと水面下で眠っていた。
祖母が亡くなってから初めて功を奏するように、降って湧いた縁談だった。


「……そうか。それで結婚をしたのか」


急に何を思ったのか、納得しだす教授。
その顔を眺めながら胸に引っ掛かるものを覚え、じっと顔を見てしまった。


教授は私の視線が自分に注がれていることを知ると焦り、再びカフェラテの泡を吸い込む。
それから、結婚したことを彼が言わないものだから、邪魔をする様な電話をかけてしまい申し訳なかった…と謝ってきた。


「土曜日はあの後何処かへ行きましたか?」


その質問にはハッキリと答えられなかった。

気分が優れなくなったと言えば気を悪くしそうだし、自分が火急の要件があると言って呼び出したのが原因だと思われても困る。


それで近所に買い物へ行きました…と言っておいた。
教授がその件で彼と話すとは思えなくて。


「まさか、あの黒沢君が買い物に付き合ったんですか!?」


大袈裟に驚くのを聞いて、何故だろうと小首を傾げた。


「大学院で買い出しに行く時も、何でもいいからと言って、全く動かなかった奴が」


< 137 / 283 >

この作品をシェア

pagetop