あなたの心を❤️で満たして
足場の組まれた家にはグレーのシートが掛けられてある。
ブルーの壁も風見鶏も見えず、家全体がまるで改装中のようだ。


「……ごめん、驚いただろ」


そう言う声を聞き、ハッとして振り返った。
私の側に来た黒沢さんは、だからもう少し時間が欲しいと言っていたのに…と呟く。


「あの……これは一体どういう意味?」


家は改装中なの?と聞くと、彼は唇の端を上向きにカーブさせた。


「うん、あのまま住むには危険な状態だと言われたから」


「誰に!?」


私は焦る気持ちで彼に問い合わせた。
私の住み慣れた家が危険だなんてどうして。


「この家の仲介をしてくれた不動産屋。白蟻が住み着いてると教えてくれたんだ」


その場所は家の基礎部分だった。
そこを修繕しないといずれ朽ちてしまうと説明されたらしい。


「どうせ住むならきちんとした形にしたいだろう。だから…」


黒沢さんの声が耳に入る前に、私はショックと共に信じられない言葉を聞いたような気がしてーーー


「住むって…此処に?」


振り返る我が家だった家はシートに覆われている。
この改修工事が済んだら、また此処に住むの?


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