あなたの心を❤️で満たして
「急がないと三上さんに怒られるぞ。あの人、時間には厳しいから」


一年前もそうだった…と言い出し、それを何度も聞かされてきた私は、はいはい…と軽く受け流す。


「…あっ!運転は私にさせて」


旦那様の手から車のキーを受け取り、センサーのボタンを押してロックを解除。


「大丈夫か?大切な日に事故なんて起こさないでくれよ」


「平気。厚志さんがするよりも安全よ」


笑い返して乗り込む。
目的地までの道案内をナビに委ね、私はアクセルを踏み込んだーーー。



運転をしながらこの一年間を振り返った。
いろいろとあったねと話し、厚志さんは特に私が免許を取得して良かった…とこぼした。


「留衣の為にと思って買った車が役に立った」


体に合わないサイズの車に乗っていると思っていたら、それが自分用だと知らされた。

折角だから乗れるようになりたいと思い、一念発起して教習所に通いだしたのが初夏。


真夏には懐かしい我が家の改修工事が終わり、私達はあの要塞のような屋敷を後にした。

秋の初めには免許取り立てでドライブへ行き、お彼岸にはお墓参りも兼ねて遠出した。


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