あなたの心を❤️で満たして
此処が自分達の部屋なのかと思うと鼓動はマックスに達し、耳の奥でこれでもかと言うほどに鳴り響く。


振り向いた彼と視線を合わせるのが怖い。
中に入った途端、キスをされたりしたらどうしよう。


「ん?」


不思議そうに振り向く彼にドキン!と大きく胸が弾み、心臓が口から飛び出すかと思う程驚いた。


「君の部屋は隣。着替えたらノックして」


「へ?」


「のんびりしてていいよ。廣瀬さんが帰るまでに食事を終えればいいんだから」


それじゃ…と言って、さっさと部屋の中に入って行った。
ぽつんと廊下に残され、その閉まった焦げ茶色のドアを見つめて茫然とする。



『君の部屋は隣』


そう言っていた言葉を思い出し、ちらっと右側のドアを見たけれどーーー。


「別々?」


夫婦って同じ部屋で過ごすものじゃないの?
特に新婚ってそうでしょ?


隣の部屋に足を向けながら、自分の考えがおかしいのかな…と心配になった。
それとも、こういう上流の生活をしている人達って、家の中では皆バラバラに過ごすのが普通?


「とにかく入ってみよう。少し落ち着いて考えなくちゃ」


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