love game♡
部屋に行くと、荒れ放題になっていた。

「あー拾わなきゃよかった。」

「お疲れ。伊織くん。」

そっぽを向いて、ソファに座ったその子は
よく見れば傷だらけだった。

「おい、蘭。ここ片付けねーと親んとこ連れてくぞ!」

「帰んねーってば!!」

ブツブツ言いながら、片付けを始めた。

「蘭って名前なの?あの子。」

「そ。3年生らしいんだけど。
学校で、友達と喧嘩して抜け出してきたんだと。」

「だから傷だらけなんだ。
でも、学校抜け出してきちゃったってやばくない?お家の人探してるんじゃないの?」

「どーだろ。」

「え?こいつの住所聞いたらさ
なんとびっくり俺の母親の住んでるとこ。」

「え?でも伊織くんなあ母さん妊娠中なんだよね?」

「それがさ、こいつ問いただしたらな
俺の母親とその旦那にはつれごがいてな
それがこいつらしいんだわ。

お父さんは、新しいお母さんと結婚して
今度赤ちゃんが生まれるんだと。」

「伊織くん、どうしてこの子を連れてきたの?」

「あまりにも傷だらけの捨て犬だったから。
それと、かけ。」

「かけ?」

「蘭はさ、俺の母親に気を引きたいんじゃないかなって思ったんだよ。ただえさえ、連れ子でしょ。本当の母親じゃない上に、赤ちゃんが産まれんだ。こんなちっさいガキにそれを理解しらって言われてもできねーだろ。」

「確かに。」

「それと、俺みたいに放置されて欲しくないから。かな。」

きっと伊織くんは、複雑だろう。

だって、自分のお母さんが新しい家族を作ろうとしている。

自分には、愛情をくれなかったのに
新しい家族には愛情を注いでいる。

それを目の前にしたらきっと複雑だろう。

「伊織くんは、この子に幸せになってほしい?」

「まーな。俺はさあの人を好きになれないけど新しい家族になってこいつには俺とおんなじ思いさせたくねえ。つーか、俺とおんなじ思いしてたら今度こそ母親を嫌いになる。」

伊織くんは、きっと心のどこかで
お母さんのこと気にしてるのかも。

「お母さんのとこいかないの?」

「いかねーよ。今更。
だから尚更、俺はさコイツにかけることにした。」

「そっか。」

ギュッと手を握ったら、強く握り返された。


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