蘇りのウタ
「この森は大きいから、いろんな場所に同じ小屋を用意してるんだ。自分たちが休めるように。それに、他の人のためにも」


カケルが自信満々にそう言った。


「他の人のため?」


乃愛が聞き返す。


もういいだろ。


こいつに関わるな。


そう言いたいのをグッと我慢した。


乃愛は優しい子だ。


教室で1人でいる生徒を見過ごすことのできない性格をしている。


「ほら、森にはいろんな人が来るからね」


カケルは言葉を濁してそう言った。


「それって、どういう意味?」


真琴が敏感に反応して聞き返した。


自分たちの儀式のことを言っているのだと、思い込んでいるようだ。

< 106 / 245 >

この作品をシェア

pagetop