蘇りのウタ
☆☆☆

まるで、夢を見ているようだった。


血しぶきが舞って香菜美の体が崩れ落ちると、それと連動するように骨人間たちがガラガラと音を立てて崩れ落ちたのだ。


唖然とした表情の創吾がその場に膝をつく。


蘇った者の死によって、すべてがリセットされたのだ。


途端に、香菜美が死んだ時の記憶が舞い戻って来た。


川で溺れていた小学生を助けた香菜美。


その後みんなで病院に駆けつけたけれど、その時はもう香菜美の遺体はなかったんだ。


あの時、すでに儀式を行うために移動を始めていたのだろう。


「そうだった……。香菜美はあの時、死んだんだ……」


乃愛が思い出してそう言った時、地面に膝をついていた創吾が吼えるような声で泣き始めたのだった……。
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