身代わりの姫


その時、肩を抱かれた。


「海の真ん中は、方向が分からなくなり、怖くなる。

大丈夫か?」


思わず、ジルの背中の服を掴んだ。



「………孤独を感じたい時には、ちょうど良いかもしれません」


「バルテモン国には、お前が思ってるより、楽しいこともある。

誰もが歓迎する。俺を含めて皆に愛される妃となるだろう。

思ってる事は言え。

俺に遠慮はいらん。この先、一緒にいてほしいから」


「………はい」


この人は、私を………?




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