身代わりの姫



ジルは、最近、城から戻る時間が遅くなっている。

 
「サリ!」

部屋に戻るなり呼ばれた。

「おりますわ、どうかされました?」

「いや、別に………入浴してくる」


バタバタと抱きしめてから、すぐ入浴に行ったジルを、何かあったのかと、と思いながら見送った。



風呂から戻ったジルは、その大きな筋肉で覆われた体を、肘掛け椅子で伸ばしているようだった。



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