身代わりの姫


暑い夏の陽が照りつける日が続いていた。


視察の日、王太子も一緒に行くことになり、心強い。


早めの昼食後、後宮から王宮へつながるホールで王太子と王太子の護衛隊数名と王女の護衛隊数名が待っていた。

「お待たせしました。よろしくお願いします」

王太子の側に行き、微笑んで言うと

「とりあえず、笑って?
視察先の病院では、少し同情しながら、明るくな?」

小声で言った王太子に笑顔で頷いた。


「では、参ろうか」

私の背中に軽く手を当てて、二人で先頭を歩いた。


大きな馬車に王太子とそれぞれの護衛隊長と共に乗り込む。


馬車が出発すると、緊張を解そうとするように、話しかけてくれる3人だった。




初めての視察は、病院で流行病の様子を聞き、子どもの受診や職員の勤務状況などを聞いた。



軽い病状の入院病棟を見て回り、患者にも話をきく。



明るく質問してくる子ども達はかわいらしく、思わず笑顔で答えていた。




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