身代わりの姫



その日から2日が経った。

侍女の格好をして、リリアの部屋でお茶を用意していた。


リリアは、色が白く繊細で、人を引っ張るタイプではないが、穏やかな優しい雰囲気で、誰からも優しくされることで、王女として生きている、そんな人なのだと改めて思う。

静かに暮らしていける場所があれば、嫁いでも良いのでは?と考えていた。


その時、いつもより大きくノックされたドアを開けるとマアサが立っていた。

「王女、急ですが今夜は……バルテモン王太子と謁見と会食です。

これから、ご準備を」

マアサの言葉に、リリアが私を見た。


「王女、今夜は影武者はなしで、本人が参加するように、とのことです。

アリアは側に控えなさい」

「分かりました」

何も言わないリリアに変わって、返事をした。





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